【夜久野「農匠の郷」満喫旅行】2002.4.12

 4月5、6日と夜久野町にリハビリ1泊旅行に出掛けた。国道を使いペタペタと軽貨物でゆっくり ノンビリ走る。
 往路は昔よく利用した 丹波の「やまがたや」で休憩した。「道の駅」や道の駅もどきが随分増えたように思う。「道の駅」好きな私は、帰りには寄ってみようと思いながら先を急いだ。

 事前に夜久野町HPをのぞき、大津から何時間くらいかかるかをメールで問い合わせたところ3時間程という返事をいただいた。また、5日は近くの京都府緑化センターの枝垂桜が満開になる模様とのご親切な情報もいただいた。往路は、休憩を含めて3時間半かかった。4時間はかかると思っていたが、さすが役場の情報は正しい。

 「農匠の郷」には【木と漆の館】【ベゴニア園】【花あずき館】(和菓子の店)【高原温泉ほっこり館】【郷土資料館】【匠の郷やくの高原市】(地場野菜などの販売)【一道庵】(お茶席)と2軒の食事処がある。
事前にお勉強した私の目的は @漆塗りの体験 A枝垂桜 B温泉 C高原市であった。

 駐車場内に【高原市】があったので早速物色、明日は何をお土産に買おうかと見て楽しむ。

 そして第一目的の【木と漆の館】を訪れ、漆塗りの体験をした。予想外に簡単であった(簡単なのを選んだ)。
 スポンジを小さく切ったものをマッチ棒状のものにセロテープで貼りつけてある、タンポにしたようなものを使う。それに漆をつけてポンポンと叩く様に塗る。
 お箸とスプーンに挑戦してみた。お箸は自我自賛で、なかなかのものに仕上がったが、スプーンは見るも無残な仕上がりとなった。しかし、 指導にあたってくださった若くて綺麗な先生が「取れますよ」と一言、テレピン油で一拭きしてもらったたら、なんとなくよい具合になったので、それで仕上がりということにした。
 
 漆が乾いてから洗って使用可能となる。それまでは箱に収めて、約1週間の辛抱。

 次は、枝垂桜の見学。【あずき館】で桜餅を1個買い、いそいそと緑化センターへ行った。
 100メートル足らずの小路の両脇に枝垂桜が満開だった。珍しい枝垂れカツラという木もあった。 満開の桜の下に腰をおろし、桜餅を味わう。
 桜の木の下で桜餅を食べたのは、これまでの人生で初めてのことだった。 ウグイスの声が心地好い。心無垢なる時間。

 そして温泉。温泉は日替わりでミストサウナとサウナが男女交替となる。 私が行った日はサウナの日だったのでパス。ミストサウナはすごく好きなのだが、 サウナは痩せたカラダが干物になってしまうような気がする。
 普通の温泉もよかったが、露天風呂が最高だった。5日は天気がよく、山に囲まれた景色と、 その上に広がる青空に 一直線の真っ白な飛行機雲。温泉や露天風呂の経験が少ない私には 最高の景色の露天風呂だった。ゆっくりノンビリ しっかりお湯を楽しんだ。

 宿泊は農匠の郷の敷地内にある、国民休養村管理センター夜久野荘。昼間の研修室が宿泊室となる。 この日の宿泊客は私だけだった。12.5畳の大きな部屋に一人。いささか広すぎるような、 贅沢というかなんというか。
 あまり広いので、子どものころにやった、畳の上を端から端まで  ごろごろと転がって遊ぶをやってみた。目が回ったので1回でやめたが、 とっても久しぶりの遊びに ひとり心を和ませていた。

 食事のあとに また温泉。宿泊者は入り放題なのだ。 夜間の露天風呂は風が冷たい。夜久野と大津では結構な温度差があった。 12.5畳に一人というせいもあるかもしれないが、入浴後、持参した衣服を全部着込んで、 その上に宿泊所の半纏を羽織るという有様だった。

 運転で疲れたせいもあったかもしれないが、家にいる時より しっかり寝ることができた。美味しい朝ご飯を親切なお給仕でいただき、高原市へ。
 高原市の表に花が飾ってあった。桜と間違えて「これ売ってるんですか?桜ですか?」 と尋ねたら「桃」ということであり、売り物ではないが 持って返っていいと言ってもらった。 でも壷は持って帰らないでねと 売り手と買い手で大笑いのヒトコマ。ありがたく頂戴した。

 野菜は大津と比べると、ほうれん草や小松菜が50円くらい安い。ブロッコリーにワサビの葉、大根の花のような野菜、 物欲が解放されたように買い込んだ。中でも高菜は初めての買い物だ。大津では見たことがない。 日持ちのする 乾き物の豆や干し大根、トウガラシも買う。 一人暮らしやのに どないすんねん というくらい買ってしまった。

 高菜は信州あたりの「おやき」に入っているものか、漬物でしか食べたことがなく、 正直あまり美味しいものだとは思っていなかった。
 どう料理して食べるのかと尋ねたら「塩漬け」という答えだった。 地元では高菜漬けのモトというのを利用されているらしい。 ちょうど高菜を買っていた他のお客さんが「炊く」と言っておられた。 1把100円。その大きさは、スーパーで売っているほうれん草3束くらいの量だ。 買わずにおれない貧乏性。


 家に帰って、塩漬け、ヌカ漬け、炒める、煮るを試した。みな美味しかった。 ほろっと苦味があるが芳香もある。ウドに似た感じとでも言ったらいいだろうか。
 単純な塩漬け、昆布とトウガラシを入れた自家製漬物は今まで食べた高菜漬けよりよっぽど美味しかった。


 【ベゴニア園】にも行ってみた。前日ものぞいたが、入園料300円に躊躇したのだ。 夜久野荘の方が、入園料はベゴニア園の中にある喫茶室で返金されるシステムだと教えてくださったので、 躊躇なく入ろうとしたら、躊躇している観光客がおられた。
 喫茶で使えると教えてあげたら、躊躇なく入られた。人間って面白い。

 ベゴニア園では、ちょうど先着150人に球根ベゴニアプレゼントという催しをしておられて、 好きな球根を貰っていいということだった。 でも、どんな花が咲くかは咲いてみるまではわからないということだ。
 
 ベゴニアは、せいぜいリーガスベゴニアぐらいしか知らなかったのだが、 その種類、花のあでやかさは目をみはるものだった。しかし、私はあまり豪奢な花は好みではない。 ところが、大好きなオレンジ色の清楚な花をつけているベゴニアを見つけてしまった。
 一目惚れ。寄せ植えにしてあり、お値段を聞いたら5000円。ちょっと、いや大分高い。 1株だけでは駄目かと聞いたら「かまわない」というお返事。 聞いてみるものだ。早速植え替えてくださり、1200円で手に入れた。
  私にしたら贅沢な買い物だ。この日の私の買い物欲は 日ごろの反動か  どうにも留まることを忘れてしまったようだった。

 物欲も十分に満足させ、爽やかな高原の風も味わい、農匠の郷をあとにした。

 あの高原を吹き渡る風は本当に気持ちよかった。風に吹かれるままに いつまでもたたずんでいたい  そんな心にさせる風だった。

【付録】
あずき館では和菓子の試食ができ、全部試した。全部美味しかった。 夜久野町は何もないところだと地元の人は言われたが、自然いっぱいの素晴らしい町だと思う。 いつまでも、そのままであって欲しいと思うのは旅人だからだろうか。