【裏山散歩】 2002.4.3

きのう 久しぶりに裏山散歩に出かけた。
自然からは いつも新鮮な喜びを感じる。

御用池と呼ばれる池の際に生えている山桜は満開だった。
池面に張り出した枝は水面すれすれで花開き、葉も光沢が美しい。

見渡せば 山のあちこちで ぼわっ ぼわっ と桜が咲いている。

雑草と呼ばれる草の数々が我が世とばかり緑をぶちまけている。
その緑は視覚を通して いきなり心に入りこみ、しばし留まる。
それは驚きでもあり 歓びでもある。
不思議な感覚。
留まる時間は短く、手放したくないがやがて消える。
あとには感覚の経験が残る。

緑は種類ごとに微妙に違い、それぞれに美しい。
あるものには蕾がつき、あるものは花開き、春は自然の命の息吹を感じずにはおれない。
ハコベの生き生きとした様子は、こちらまで元気になりそうだ。
カラスノエンドウも随分と大きくなっている。
そこやここにはタンポポの鮮やかな黄色が映える。

野草愛好家半人前としては、食材が豊富で 山にさえ行けば、当分野菜は買わなくてもいいか などと所帯じみた考えも浮かぶ。

蝶々もふわふわと飛んでいた。

ウグイスは競って鳴いているように聞こえる。実は縄張り争いらしいということを聞いた事があるが、鳥のことも音痴なのでわからない。
ホー ホー ホー ホケキョと鳴くウグイスは、ホーホケキョとまだ正しく鳴けないのか、声のいいのを自慢にしているのかわからないが、そのリズムがなんとなくいい。
他の鳥も美しい声を出している。鳥たちも我が世の春とばかりに喜び歌っているように感じられる。

ふと思いつき、ツクシを探してみた。4本みつけたが、他には見つけられなかった。これでは食べるには、ちょっと足りないようだ。

あきらめず、探しているうちにいつもとは違う道を見つけた。
進んでいくうちに大きなゴミがあった。何年も風雨にさらされたような、もはや車とは呼べなくなったようなクルマ。クルマから新緑の美しい草が生えている。
宮崎監督作品の「もののけ姫」を思い出す。破壊と再生。

知らない道だが 行き先は見当がつく。
歩いているうちに山ツツジを見つけた。
ひっそりとした日陰なのに、ほとんど満開だ。
あの山ツツジの色はどうして作り出されるのだろうと いつも思う。
濃いピンクとでも表現したらいいのだろうか。
色を表現する語録も少ない自分に愛想が尽きながらも、美しさに見とれる。

帰りに 田んぼの畔でノビルを少しいただいた。ノビルは大の好物。昨夜は酢味噌和えにして食した。我ながら上出来で美味しかった。

春の野山は豊かな色彩と滋養に溢れている。
ココロとカラダの「命食(ヌチグスリ)」と言うにふさわしい。
(料理バンザイで、平良とみさんが 沖縄では食事のことを「ヌチグスリ」というと言われていた。よい言葉だと思う)