【徒然なるまま】 2002.3.23

 三寒四温の天気のごとく 1日動けば1日熱が出、2日動けば2日熱が出るような日々を過ごしているが、少しずつ体力がついてきたような気がする今日この頃、世間はすっかり春めいている。 1月から2月は ほとんど熱の日々を過ごしていた。

 今日は所用で岡山の作東町まで行った。
 道々で目にする、ミモザ、雪柳にレンギョウが まるで燃えるような溢れる命の輝きを放っている。新芽の薄緑も目に鮮やかだ。 作東町は、のどかな空気のきれいな町だった。
 
 風に春を感じた。

 帰り道 霙、雪、雨、晴れ、虹を味わった。
 1日で これほどの変化を体験できるなんて なんとなくうれしい。

 往路では気がつかなかったが、帰りの中国自動車道で都会の町並みが見渡せるところの風景を見た瞬間、現代社会のおぞましさのようなものを感じた。

 青空を背景にした屹立するビルやマンションの町並みは 少しの美しさも感じられない。

 今話題の映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作【指輪物語】の影響が心に残っているせいだと思うが、その6 第3部「王の帰還・下」8.ホビット庄の掃蕩 の場面を彷彿とさせたのだ。

 サルーマンがホビット庄で悪事の限りをつくし美しい村をモルドールのような町に変えてしまった場面が出て来る。原作の初版は1954(昭和29)年にイギリスで刊行され、新版は1966年で、邦訳の第3部「王の帰還・下」の初版は1975(昭和50)年である。

 その当時に 著者トールキンが、地球を汚していく人間の愚かしさを想像されたわけでもなさそうであるが、物語にでてくるサウロンの支配への欲望が、おぞましいモルドールという国を作り上げ、自然を破壊していく様は、あまりにも現代に通じているような気がした。
  物語に登場するサウロンに操られるが、それでも己のことしか考えられない、おぞましい生き物・オークや、心の隙に付け入られ操られる大きい人(人間)たちは、今の世にも随分いるのではないか と 空に突き刺すように立つビルだらけの風景を見た瞬間、これらのことが頭に浮かんできたのだった。

 そして 私の心は 少しくらい不便でも自然に囲まれた生活に憧れる。

【追記】
サウロンの王国がアメリカで、サルーマンの心が潜在的にヒトが持っている悪しきもので、ホビット庄の小さなヒトたちは アメリカの奴隷になる前の日本人かしら と ふと心に浮かびました。
【指輪物語】は正統派お伽噺というか 日本流に言えば遠野物語のような伝承に基づいた物語なのでしょうか。壮大なお話でございました。映画も見ましたが、原作では主人公のホビット庄のフロドは30歳なんですが、、、。ちいと違和感がありました。 原作の方が圧倒的にすごいと 私は思いました。もっとも原作も1部は少々読み進むのに苦労しました。