【道草天ぷら】 2001.6.26

「道草天ぷら」の命名者は道草探検隊の隊長である。

私は「なんで『道草天ぷら』と言うのですか?」と尋ねた。

渓流釣り暦ン十年の大ベテランの隊長曰く
「腹がへったら、座ったところではじめる。自分が座った周りの草を天ぷらにしていくから」だそうだ。
これが正当派「道草天ぷら」である。

「何でも食べられるんですか」と聞けば「お毒見係りがいる」という返事。なんとお毒見係りはBAN隊員(ウルトラマンみたい)であった。(登場人物は道草探検隊をご参照ください)

さて、過日のゴールデンウイーク半ば、この隊長が会長をしている「久多蕎麦の会」が「大・道草天ぷら大会」を開催した。本来の道草天ぷらの主義からは少々はずれるが、大変楽しく、かつ美味なるものであった。会員はいたく満足した。

この「久多蕎麦の会」は会長の渓流釣り仲間を中心に、友達の友達は友達式で集まった集団。会員が全部で何人いるかは会計の「宿酔(しゅくすい)」さんのみぞ知るところらしい。
休耕田を借り受け、耕し、蕎麦を植え、晩秋に収穫。会員全員で山分けするというシステムである。久多に棲息する鹿に新芽を横取りされたこともある。
何度か集まって働くのであるが、働いているのか飲んでいるのかわからない という節もある。また、会員は「号」で呼び合うことが多く、本名を知らない。たまに本名がわかったりすると「号」からのへだたりに大笑いしてしまうこともある。大人になっても子どものままの名前だから(当たり前なのだが)。

この日食された「道草」はコシアブラ、ニワトコ、シャク(ヤマニンジン)、ソバの若苗、ドクダミ、コゴミ、ヨモギ、カラスノエンドウ、ヨメナ、ノカンゾウ、イカリソウの花、ウバユリの根、山椒の葉、タラの芽、ソバの原種(正確にはシャクチリソバ)などをいただいた。

中でも、コゴミとコシアブラとヨモギが大いに気に入った。コゴミはグリーンアスパラに似た味と歯ごたえ。いくらでも食える。コシアブラも大変気に入ったが、どのような状態で生えているのかがわらないので自分では探せない。とほほ。ヨモギはあの独特の香りが口中にひろがり何ともいえない美味。

カラスノエンドウは会長も初食いであったらしく、人に食べさせてから食べておられた。かなり繊維質で、そんなに美味しいものでもなかったが、自然の中でいただくというだけで、何でもご馳走になる。
ちなみにウバユリの根はイノシシもあまり食わない というシロモノらしい。

蕎麦打ち上手の計太さんが、蕎麦も打ってくださり、満腹満足。


さて、この日を境に失業中の私は家計の助けというセコイ考えにも執りつかれ、山草の虜となった。「山菜の取り方と料理の仕方」(中井将善著)という本まで購入したが、結局はすぐにわかるヨモギを食する程度。ツユクサも食せるということが書いてあったので、季節到来で楽しみにしている。

後日、先に書いた【道草探検隊】のおり、こともあろうに私は隊長に毒草の毒見をさせてしまった。「苦い、苦い、これは毒草の苦さや!」と隊長。えらいコトをしてしまったが後の祭。

最後に隊長の名言を付け加えておく「人生と山菜は苦いもの」
そして付録「山菜探しをすると目つきが悪くなって困る」
確かに言い得て妙。山菜探しは、目がギンギンになる。